欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

東欧・ロシア・その他

ポーランドのシェールガス開発、仏トタルが撤退

この記事の要約

仏石油大手トタルは14日、ポーランド東部ヘウム近郊のシェールガス田の開発権を手放したことを明らかにした。埋蔵量が小規模で、採算が合わないと判断したため。これによって同国でのシェールガス開発から撤退する。 同開発権はトタル […]

仏石油大手トタルは14日、ポーランド東部ヘウム近郊のシェールガス田の開発権を手放したことを明らかにした。埋蔵量が小規模で、採算が合わないと判断したため。これによって同国でのシェールガス開発から撤退する。

同開発権はトタルがポーランドで保有する唯一のシェールガス権益。3月31日が期限だったが、更新を行わなかったため、4月1日付で失効した。同社の広報担当者はAFP通信に対して、試掘でシェールガスの埋蔵は確認されたものの、採算性が低いことから開発を断念したと説明した。

ポーランドのシェールガス埋蔵量は推定8,000億~2兆立方メートル。政府は天然ガスの3分の2をロシアからの輸入に依存する構造を転換するため、3年前からシェールガス開発に乗り出しており、2013年に米コノコフィリップス、シェブロンが採掘を開始した。

しかし、政府が2012年にシェールガスの推定埋蔵量を大幅に下方修正したことや、開発をめぐる法整備が進んでいないことから、開発を断念する動きも出ており、米マラソン・オイルとカナダのタリスマン・エナジーが昨年に撤退した。

ポーランド政府にとっては、クリミア併合をめぐって欧米と対立するロシアが欧州への天然ガス供給停止をちらつかせていることで、エネルギー自給体制強化の必要性が高まっている時期だけに、大手石油会社の新たな撤退は大きな痛手となる。