イタリア政府は20日、“ポポラーリ”と呼ばれる大手の協同組合銀行を構造改革する法案を閣議決定した。銀行との結びつきが強い一部の株主が意思決定を支配する構造を崩し、経営の健全化を促すのが狙いで、対象銀行は18カ月以内に企業形態を株式会社(S.p.A)に変更することを求められる。
対象となるのは資産規模が80億ユーロ以上の協同組合銀行。バンカ・ポポラーレ、バンカ・ポポラーレ・ディ・ミラノなど中堅10行が影響を受ける。
イタリアの協同組合銀行は単独株主の持ち株比率が制限され、しかも同比率に関係なく1株主が保有する議決権は1個に限られてきた。これによって大口株主が軽視され、従業員や銀行労組など当事者による支配が進み、銀行が望まない合併・買収が阻止されたり、融資の決定で公正性を欠くといった問題が指摘されている。このため、昨年2月に発足したレンツィ首相率いる新政権は構造改革に乗り出していた。
同法案は議会の承認を経て成立の見込み。これを受けて10行は株式会社となり、持ち株比率と議決権を制限するルールは撤廃される。
国内では同法案の成立によって協同組合銀行の合併・買収が進むとの観測が浮上しており、各行の株価は同日に上昇した。