欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

西欧

ハチソンが英携帯電話サービス大手O2買収へ、親会社テレフォニカと独占交渉

この記事の要約

香港のハチソン・ワンポアは23日、スペイン通信最大手テレフォニカの英携帯電話サービス部門「O2 UK」の買収に向けた独占交渉を行っていることを明らかにした。提示している買収額は最大102億5,000万ポンド(約137億ユ […]

香港のハチソン・ワンポアは23日、スペイン通信最大手テレフォニカの英携帯電話サービス部門「O2 UK」の買収に向けた独占交渉を行っていることを明らかにした。提示している買収額は最大102億5,000万ポンド(約137億ユーロ)。ハチソンは英国で携帯電話サービス子会社「スリー」を展開しており、買収が実現すると同市場で最大手に躍り出る。

ハチソンの買収案は、まず92億5,000万ポンドを支払い、O2 UKとスリーが統合して誕生する新会社の業績に応じて最大10億ポンドを上乗せするという内容。交渉は「数週間」続く見通しで、買収は当局による認可が条件となる。実現すれば、2016年半ばをめどにO2 UKとスリーを統合するという。

英携帯電話サービス市場はEEとO2 UK、ボーダフォン、スリーの4社体制。仏オレンジとドイツテレコムの合弁会社であるEEが最大手となっている。同市場では英固定通信最大手のBTグループが携帯電話サービス再参入を目指し、昨年11月にEEまたはO2 UKの買収に乗り出したが、現在は買収候補をEEに絞り込んで独占交渉を行っている。両買収が成立すると、再編が一気に加速することになる。

ハチソンは買収によって加入者が3,100万件を超え、英携帯電話サービス市場で約41%のシェアを握り、EEの同32%を上回る最大手に浮上する。ただ、英通信当局は同市場の健全な競争を保つためには最低4社の体制が必要という立場であることから、3社体制に縮小する今回の買収の認可手続きが難航するのは必至との見方が出ている。

ハチソン・ワンポアは香港の大富豪である李嘉誠氏が率いるコングロマリット(複合企業)長江実業の中核企業。長江実業は欧州で買収攻勢を強めており、携帯電話サービスではテレフォニカのアイルランド子会社「O2アイルランド」を昨年に8億5,000万ユーロで買収した。20日にはインフラ部門の長江基建と共同で、英国の鉄道車両リース大手エバーショルト・レール・グループを25億ポンドで買収することで合意したと発表していた。

エバーショルトは国内の3大鉄道車両リース会社のひとつで、旅客車で28%のシェアを持つ。長江実業は長江基建と共同で、英投資会社3iインフラストラクチャー、米モルガン・スタンレー・インフラストラクチャー・パートナーズなどが保有する同社の全株式を取得する。これによってエバーショルトは長江実業と長江基建が折半出資する子会社となる。3月の買収手続き完了を見込む。