欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/2

総合 – 欧州経済ニュース

EU外相理、対ロ制裁の延長で合意

この記事の要約

EUは1月29日、ウクライナ東部情勢の緊迫化を受けて緊急外相理事会を開き、現在ロシアの個人・団体に対して科している制裁措置の期限を延長するとともに、制裁の対象を拡大することで合意した。一方、追加の経済制裁についての決定は […]

EUは1月29日、ウクライナ東部情勢の緊迫化を受けて緊急外相理事会を開き、現在ロシアの個人・団体に対して科している制裁措置の期限を延長するとともに、制裁の対象を拡大することで合意した。一方、追加の経済制裁についての決定は今月12日のEU首脳会議に先送りした。

外相理事会は、ウクライナ東部の親ロシア派やロシア政府幹部など132人、28団体に対して実施している資産凍結、渡航禁止の制裁措置を9月末まで延長することを決定。制裁対象に加える新たな個人・団体を1週間以内にリストアップするよう欧州委と対外活動庁に要請し、9日の外相理事会で是非を判断するとした。

追加の経済制裁をめぐっては英国、ポーランド、スウェーデン、ルーマニア、バルト諸国が早期の発動に向け態度を明確にするよう主張した一方、ギリシャ、イタリアやオーストリアは決定の先送りを支持。ドイツとフランスも早期発動には慎重な姿勢を示した。外相理事会を前にギリシャのチプラス新政権がロシアとの関係改善を重視して制裁強化に反対するとの懸念が広がっていた。しかし、理事会に出席したギリシャのコチアス外相は「私はロシアの傀儡ではない」と述べ、同国がすべての制裁への取り組みを妨げるとの見方を否定した

ウクライナ東部では、昨年9月に政府軍と親ロシア派が停戦で合意したにもかかわらず、今年に入って戦闘が再び激しくなっている。ドネツク州マリウポリでは24日、市場への砲撃により市民ら少なくとも30人が死亡した。理事会は総括文書で、「ロシアによる分離主義者への支援は継続し拡大している」として、ウクライナ東部での紛争激化の責任はロシアにあると強調。親ロシア派に対する支援を止めるよう強く求めた。モゲリーニ氏は理事会後の記者会見で、今回の決定が「特にロシアに前向きな対応を取るよう促す圧力となることを望む」と語った。