欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/2

総合 – 欧州経済ニュース

対テロで国境管理を厳格化、帰還戦闘員の流入阻止へ

この記事の要約

EUは1月29日、議長国ラトビアの首都リガで内相会議を開き、テロリストの域内流入を阻止するため国境管理を厳格化するとともに、過激な思想が浸透しないようインターネットの規制を強化することで合意した。また、航空機の搭乗者情報 […]

EUは1月29日、議長国ラトビアの首都リガで内相会議を開き、テロリストの域内流入を阻止するため国境管理を厳格化するとともに、過激な思想が浸透しないようインターネットの規制を強化することで合意した。また、航空機の搭乗者情報を加盟国が共有できるシステムの構築を目指すことでも一致した。今回の議論を踏まえ、2月中旬のEU首脳会議で包括的な対策案について協議する。

フランスの週刊紙銃撃事件などを受け、EUではテロ対策の強化が急務となっている。特に過激派組織「イスラム国」の戦闘員としてシリアやイラクなどで活動した後、欧州各国に帰還する若者がテロを起こす可能性が高まっており、EUとしての対応が求められている。内相会議ではこうした現状を踏まえ、今後は外国人だけでなく、EU市民に対しても出入国管理を強化し、要注意人物のリストと照会してテロ予備軍が域内に流入するのを阻止する方針で一致した。

航空旅客については全搭乗者の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、クレジットカードの利用履歴などのデータを一元管理し、各国当局が情報を共有して帰還戦闘員の流入を防ぐとともに、紛争地域での戦闘参加を食い止める方針を打ち出した。ただ、欧州議会は個人情報保護の観点から旅客情報の一元管理に反対しており、実現は困難との見方も出ている。

一方、過激派組織などがソーシャルネットワークやウェブサイトで戦闘参加の呼びかけやプロパガンダを展開している現状を受け、インターネット関連企業に協力を要請して規制を強化することで合意した。さらに欧州刑事警察機構(ユーロポール)と加盟国の間で情報共有を促進し、テロ組織の資金源や武器の流通ルートなどの解明で協力する方針を確認した。