欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

ロシア・CIS・その他

RWEがウクライナへのガス供給開始、ロシアの値上げ受け

この記事の要約

エネルギー大手の独RWEは15日、ウクライナ向けの天然ガス供給を同日付で開始すると発表した。ロシア国営ガスプロムがウクライナ向けガス販売価格を大幅に引き上げたことを受けた措置。RWEはウクライナ国営ナフトガスとの取り決め […]

エネルギー大手の独RWEは15日、ウクライナ向けの天然ガス供給を同日付で開始すると発表した。ロシア国営ガスプロムがウクライナ向けガス販売価格を大幅に引き上げたことを受けた措置。RWEはウクライナ国営ナフトガスとの取り決めに従い今回の供給に乗り出した。

ガスプロムはウクライナに対するガス供給価格を4月から1,000立方メートル当たり385.5米ドルに引き上げた。これは親ロシアのヤヌコビッチ大統領(当時)と昨年12月に合意した価格を43.5%上回る水準で、対立するウクライナ暫定政府への圧力を高める狙いがある。

RWEは2012年5月、ナフトガスとの間で契約を結び、必要に応じてガスを最大で年100億立法メートル供給することを取り決めた。これはウクライナの年間需要(550億立法メートル)の5分の1弱に相当する量。RWEは13年に10億立法メートルを融通した。

メディア報道によると、天然ガスの欧州市場価格は現在、ガスプロムのウクライナ向け価格を約100ドル下回っている(1,000立方メートル当たり)。このためナフトガスは欧州から調達した方がコストが低いという事情がある。

RWEはウクライナ向けのガスを当面、ポーランドのパイプライン経由で供給する。ただ、同パイプラインで輸送できる量は少ないため、輸送能力にゆとりのあるスロバキアのパイプラインを利用したい考え。スロバキア経由で供給するためには両国国境での技術的・政治的な問題を解決する必要があることから、実現は数週間~数カ月後になる見通しという。

昨冬は暖冬だったため、欧州諸国のガス備蓄量は多く、ウクライナに供給しても各国で供給不足が発生する恐れは当面、ないもようだ。