欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/2

東欧・ロシア・その他

ロシア政府が危機対策を発表、2.4兆ルーブル規模

この記事の要約

ロシア政府は1月28日、2兆3,400億ルーブル(約300億ユーロ)規模の「危機対策計画」を発表した。ウクライナ情勢を巡る欧米の制裁や原油価格の下落に伴う通貨安によって景気後退懸念が高まっていることを受け、歳出削減や金融 […]

ロシア政府は1月28日、2兆3,400億ルーブル(約300億ユーロ)規模の「危機対策計画」を発表した。ウクライナ情勢を巡る欧米の制裁や原油価格の下落に伴う通貨安によって景気後退懸念が高まっていることを受け、歳出削減や金融機関への支援などの措置が盛り込まれている。

政府は危機対策計画について「対外的な経済・外交政策による負の影響下にある期間に持続的な経済発展と社会の安定を図ることを目的としている」と説明。今年の政府予算において防衛費と社会保障を除くすべての項目で歳出を10%カットする方針を示した。また、公的資金による投資は既存のプロジェクトに対象を絞り、新規プロジェクトは延期。銀行部門に対しては総額1兆5,500億ルーブルを注入するほか、不良資産の受け皿になる「バッドバンク」を創設するとした。政府はまた、2016年以降も歳出を最低5%削減し、17年に財政の均衡化を目指すことを明らかにした。

ロシア経済は今年、4~5%のマイナス成長に落ち込む見通し。米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、「原油安などにより、経済の成長率見通しが悪化している」として、ロシアの外貨建て長期債の格付けを投機的な水準に引き下げた。

シルアノフ財務相は連邦会議(上院)で危機対策計画について演説し、欧米による制裁や原油価格の下落などの外的ショックによる影響は2,000億ドルにのぼっていると説明。多くのアナリストが、こうした状況が長期にわたって続くと分析しているとしたうえで、危機対策はロシア経済が「新しい状況」に適応できるよう後押しをすると強調した。