欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/9

総合 – 欧州経済ニュース

ユーロ圏の15年成長率、1.3%に上方修正=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は5日発表した冬季の経済予測で、ユーロ圏の2015年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1.3%とし、秋季予測(昨年11月)の1.1%から0.2ポイント上方修正した。原油価格の下落やユーロ安、欧州中央銀行(ECB […]

欧州委員会は5日発表した冬季の経済予測で、ユーロ圏の2015年の域内総生産(GDP)予想伸び率を1.3%とし、秋季予測(昨年11月)の1.1%から0.2ポイント上方修正した。原油価格の下落やユーロ安、欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和の経済効果を見込んだもので、すべての国がプラス成長になると予測。16年には成長率が1.9%まで拡大するとの見通しを示した。(表参照)

15年の予想成長率は14年の実績(予測値)の0.8%を大きく上回る水準。EU28カ国ベースでは秋季の1.3%から1.7%に引き上げた。07年以来8年ぶりに全加盟国がプラス成長になると予想している。16年の予想成長率は2.1%とした。

欧州委は上方修正について、ユーロ安による輸出拡大、原油価格の下落、ECBがユーロ参加国の国債などを買い取る量的金融緩和を3月に開始することや、EUが景気浮揚策として実施する総額3,150億ユーロ規模の投資計画が景気を押し上げると指摘。モスコビシ委員(経済・金融担当)は、特に原油・ユーロ安を「歓迎すべきカンフル剤だ」と形容し、「景気見通しは少し明るくなってきた」と述べた。ただ、「なお困難な課題が待ち受けている」として、各国が持続的な成長に向けた構造改革を推進するよう釘を刺した。

ユーロ圏の主要国の15年の予想成長率はドイツが1.5%、フランスが1%、スペインが2.3%。それぞれ秋季の1.1%、0.7%、1.7%から引き上げられた。イタリアは0.6%で変わらず。また、ギリシャについては、政権交代で債務危機の再燃が懸念されていることから、0.4ポイント下方修正して2.5%としたが、下げ幅は予想を下回った。16年の同国の予想成長率はアイルランド、ラトビアと並ぶEU最高水準の3.6%とした。ただし、EUなどに約束した財政再建を完遂することが前提としている。

一方、ユーロ圏のインフレ率については、原油安などを受けて15年はマイナス0.1%とし、秋季のプラス0.8%から大幅に下方修正した。16年は景気拡大、賃上げに伴いプラス1.3%に持ち直すと予想した。失業率は15年が11.2%、16年が10.6%。14年の11.6%から改善するものの、高止まりが続くとみている。

ユーロ圏の15年の財政赤字は域内総生産(GDP)比2.2%で、14年の同2.6%から0.4ポイント改善すると予想した。ただ、フランスは4.1%と、赤字幅は0.2ポイント縮小するものの、15年に赤字を3%以下に抑えるという約束を順守できないことになる。