欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/16

EUその他

ESAが宇宙往還実験機「IXV」打ち上げ、大気圏再突入・帰還に成功

この記事の要約

欧州宇宙機関(ESA)は11日、再利用可能な無人の宇宙往還実験機「IXV(Intermediate eXperimental Vehicle)」の打ち上げを行い、地球に帰還させる実験に成功したと発表した。大気圏への再突入 […]

欧州宇宙機関(ESA)は11日、再利用可能な無人の宇宙往還実験機「IXV(Intermediate eXperimental Vehicle)」の打ち上げを行い、地球に帰還させる実験に成功したと発表した。大気圏への再突入技術にめどがついたことで、将来の有人飛行などに向けてESAの宇宙開発は新たな段階に入ることになる。

IXVは南米の仏領ギアナにある宇宙センターからベガロケットで打ち上げられた。高度340キロの地点でロケットから分離され、国際宇宙ステーションとほぼ同じ高度412キロまで上昇した後、降下を始めた。噴射機能を使って高度120キロ付近で秒速7.5キロまで減速し、大気圏に再突入。最後はパラシュートを開いて大気中を下降し、打ち上げから約100分後、ガラパゴス諸島の西方約3,000キロの太平洋上に着水した。

IXVは全長5メートル、高さ1.5メートル、幅2.2メートルで、重量は2トン。引退したスペースシャトルのような翼は持たず、後部に装備された2枚のフラップで飛行を制御する仕組みになっている。回収された機体はオランダにある技術センターで分析が行われることになっており、ESAは半年以内に暫定的な実験結果を公表する方針を示している。

ESAは宇宙との間を往復する再利用可能な宇宙往還機の実用化に向けて長期計画を策定しており、IXVはその中間段階に位置付けられている。IXVのミッションが成功したことで、今後は「PRIDE(Program for Reusable In-orbit Demonstrator in Europe)」と名付けられた新型機の開発計画が始動することになる。PRIDEはIXVと異なり主翼を持つため、滑走路などに着陸することができ、さまざまなミッションをこなすことが可能とされる。現在は検討段階だが、認可されれば2017年に開発がスタートし、早ければ20年に打ち上げが実施される見通しだ。