欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/16

EUその他

スイスが移民規制の実施法案を発表、移民数に上限設定

この記事の要約

スイス政府は11日、昨年の国民投票で可決された移民規制の実施法案を発表した。移民の国別人数割り当ての再導入や労働市場における自国民の優遇が柱で、議会の承認を経て2017年2月から施行される見通し。 人口のほぼ4人に1人を […]

スイス政府は11日、昨年の国民投票で可決された移民規制の実施法案を発表した。移民の国別人数割り当ての再導入や労働市場における自国民の優遇が柱で、議会の承認を経て2017年2月から施行される見通し。

人口のほぼ4人に1人を外国人が占めるスイスでは、昨年2月に外国人の移住制限を求める住民投票が実施され、賛成50.3%、反対49.7%の僅差で可決された。政府はこれにより、住民投票に沿った政策を3年以内に実現することを義務づけられた。今回発表された法案によると、就労目的でスイスに4カ月以上滞在する外国人の数に上限を設け、国別に人数を割り当てる。規制対象には周辺国からの越境労働者も含まれる。移民受け入れの上限数は各州の需要調査と移民委員会の勧告に従い、連邦評議会が毎年決定する。このほか、労働市場において自国民を優先することや、労働力不足の解消に向け女性や高齢者を積極的に活用すること、難民の就労規制を緩和することなども盛り込まれた。

スイスはEUに加盟していないが、EUとの間で人の自由な往来を認める「国境を越えた人の自由な移動に関する合意(FZA)」が2002年に発効し、EUからの移民が増えている。新たな移民規制はEU加盟国も対象となるためFZAの改正が必要となるが、EU側は難色を示している。ソマルガ連邦大統領兼司法警察相は近くEUとこの問題について「精力的な協議」を開始する意向を示す一方で、「隔たりは大きく、妥協の余地は少ない」と述べており、協議は難航が予想される。