欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/23

総合 – 欧州経済ニュース

多国籍企業の租税回避問題、3月に対策発表

この記事の要約

欧州委員会は18日、多国籍企業の租税回避防止策について検討会を開き、来月までに税の透明性向上に向けた税制案をまとめることで合意した。 EUでは税率や優遇措置などを含め税制に関し、加盟国が強い権限を持っている。加盟国間では […]

欧州委員会は18日、多国籍企業の租税回避防止策について検討会を開き、来月までに税の透明性向上に向けた税制案をまとめることで合意した。

EUでは税率や優遇措置などを含め税制に関し、加盟国が強い権限を持っている。加盟国間では法人税に関する税務情報の交換がほとんど行われておらず、企業が実際に経済活動を行っている場所を特定し、適切に税法規を適用することは難しい。その結果、多くの多国籍企業が税率の低い国に利益を集中させて税負担を減らす租税の回避を図り、EUは巨額の税収を失っているとされる。欧州委のドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会対話問題担当)は、「欧州は公平で予見可能な税制を必要としている。より深化した公平な域内市場に向けた取り組みの一環として、EU域内でも世界的にも税の透明性を確立し、より公正な租税競争を確保したい」と語った。

欧州委は昨年、アイルランドのアップル、ルクセンブルクのアマゾンとフィアット、オランダのスターバックスという4件の税制優遇措置について、正式な調査を開始。今月3日には、特定の多国籍企業に対し大幅な税額控除を認めるベルギーの制度についても調査を開始したことを明らかにするなど、多国籍企業の租税回避に対する取り締まりを強めている。