欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

総合 – 欧州経済ニュース

ウクライナへのガス供給、当面継続へ=3者協議で合意

この記事の要約

天然ガスの供給をめぐってロシアとウクライナが対立している問題で、両国は2日、ブリュッセルで仲介役のEUを交えた三者協議を行い、ウクライナ側がガス代金を前払いすることを条件にロシア側がガスの供給を3月末まで続けることで合意 […]

天然ガスの供給をめぐってロシアとウクライナが対立している問題で、両国は2日、ブリュッセルで仲介役のEUを交えた三者協議を行い、ウクライナ側がガス代金を前払いすることを条件にロシア側がガスの供給を3月末まで続けることで合意した。

この問題は、ウクライナの国営ガス会社が先月、パイプラインの破損を理由に東部の親ロシア派武装勢力の支配地域への天然ガス供給を停止したのに対し、ロシアが直接ガスを供給して支援するとともに、ウクライナのその他の地域へのガスの供給を停止すると警告していたもの。ウクライナへの供給が停止された場合、ロシア産ガスを同国経由で輸入している欧州にも大きな影響が出るため、EUが仲介に乗り出していた。

欧州委員会が発表した声明によると、ウクライナは今月分のガス代金を前払いし、ロシアはウクライナの国内消費量を満たすのに十分な最大日量1億1,400万立方メートルを供給する。4月以降の供給に関する交渉を今月下旬に行う。争点となっている東部の親ロ派武装勢力の支配地域へのガス供給については、「法的、技術的、政治的に複雑」であるとして、再協議することとなった。欧州委員会のシェフチョビッチ委員(エネルギー同盟担当)は合意内容について「満足している」と評価するコメントを発表した。

今回の合意により、ウクライナへのガス供給が停止し、同国やEUに大きな影響が出るという最悪の事態はひとまず回避された。ただ、親ロシア派支配地域へのガス供給問題は棚上げされただけで、依然として火種が残っている。

一方、欧米首脳は3日、ウクライナ情勢についてテレビ会談を行い、ウクライナ東部の停戦合意が守られなければ、ロシアに対して追加制裁を科すことで合意した。ウクライナ東部では先月15日に停戦合意が発効して以降、状況は落ち着きつつあるものの、散発的な衝突が依然として見られる。会談に参加した米英仏独伊とEUの首脳は、「もし深刻な停戦違反があった場合、(ロシアに対し)重大な追加的な代償を科す」ことを確認。さらに、欧州安保協力機構(OSCE)による停戦監視の強化や、疲弊したウクライナ経済への支援についても協議した。