欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

EU産業・貿易

オーストリア政府、地銀受け皿機関の救済放棄

この記事の要約

オーストリア政府はこのほど、経営破綻した地銀ヒポ・アルペ・アドリア銀行の不良資産を引き継いだ「バッドバンク」のヘタ・アセット・レゾリューションの救済を放棄すると発表した。これを受けて、ユーロ圏の銀行の破綻処理を一元化する […]

オーストリア政府はこのほど、経営破綻した地銀ヒポ・アルペ・アドリア銀行の不良資産を引き継いだ「バッドバンク」のヘタ・アセット・レゾリューションの救済を放棄すると発表した。これを受けて、ユーロ圏の銀行の破綻処理を一元化する「単一破綻処理メカニズム(SRM)」制度に基づき、破綻処理を進める。同制度の適用は初となる。

ヒポ・アルペ・アドリア銀は、リーマンショックに伴う金融危機で資金繰りに行き詰まり、オーストリア政府が2009年に55億ユーロの公的資金を注入して救済し、国有化した。ヘタは同行の不良資産の受け皿として昨年に設立された。

オーストリア財務省が1日明らかにしたところによると、ヘタは76億ユーロの資本不足に陥り、107億ユーロに上る債務の返済に行き詰まっているが政府は再建不能と判断し、追加の債務保証を行わないことを決定。債務返済を15カ月間凍結した上で、破綻処理を進めることを決めた。

ユーロ圏のSRMでは、金融機関に資金繰りの行き詰まりなど問題が生じた際に、債権者や大口預金者にまず負担させる「ベイル・イン」と呼ばれるシステムが導入される。今回のケースが同システム適用の初の例となる。財務省関係者によると、小口債権者でも50%の債権放棄を迫られる見通しという。