欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/5

西欧

ファイザーがアストラゼネカに新たな買収提案、630億ポンドに引き上げ

この記事の要約

製薬世界最大手の米ファイザーは2日、買収に乗り出している英同業アストラゼネカに対して、新たな買収案を提示したと発表した。買収額は当初の案を約40億ポンド上回る631億ポンド(約10兆8,800億円)。しかし、アストラゼネ […]

製薬世界最大手の米ファイザーは2日、買収に乗り出している英同業アストラゼネカに対して、新たな買収案を提示したと発表した。買収額は当初の案を約40億ポンド上回る631億ポンド(約10兆8,800億円)。しかし、アストラゼネカは同提案も受け入れない意向を表明した。

アストラゼネカをめぐっては、ファイザーが買収を提案したと4月下旬に報じられた。ファイザーは28日、総額588億ポンドでの買収を提案したことを公表。これをアストラゼネカが不服として拒否したことを明らかにしていた。

当初の提案は、現金と株式交換を組み合わせた形で、1株当たり46.61ポンドで買収するというものだった。現金による支払いが30%を占める。新提案では1株当たりの買い取り価格を50ポンドに増額。さらに現金部分を32%に引き上げた。

しかし、アストラゼネカは同日発表した声明で、新提案も「当社の価値を著しく過小評価している」として、拒否の姿勢を崩さなかった。

アストラゼネカは英2位の製薬会社。再編が進む製薬業界で最大手の地位を堅守したいファイザーは、アストラゼネカが開発中の抗がん剤などを手にすることを主眼に、買収に乗り出した。

同買収は外国企業による英企業買収で過去最大規模となるだけに、英政府の出方が注目されていたが、キャメロン首相は同日、記者団に「買収は当事者間の問題だ」と述べ、政府が介入しない方針を示した。ファイザーは先ごろ、リード最高経営責任者(CEO)がキャメロン首相に書簡を送り、買収後もアストラゼネカが国内に新たな研究開発拠点を開設する計画を引き続き推進することや、国内工場の存続などを約束していた。