欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/5

西欧

アルストム、GEのエネルギー部門買収案受け入れへ

この記事の要約

仏エンジニアリング大手アルストムは4月30日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)によるエネルギー部門の買収提案を受け入れる方向で調整を進めることを明らかにした。独シーメンスも資産交換による同部門取得を表明しているが、アル […]

仏エンジニアリング大手アルストムは4月30日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)によるエネルギー部門の買収提案を受け入れる方向で調整を進めることを明らかにした。独シーメンスも資産交換による同部門取得を表明しているが、アルストム取締役会はGEの全額現金による買収案を承認。社外取締役による特別委員会が買収案を精査し、5月末までに受け入れの可否を最終判断する。

アルストムは発電用タービン、送配電機器などエネルギー部門と、鉄道車両・信号システムなど鉄道部門が2大事業。エネルギー部門が売上高の70%を占める。

同部門をめぐっては、先月末にGEが123億5,000万ユーロでの買収を提案していることが判明。これに対抗してシーメンスは、アルストムの電力部門とシーメンスの鉄道部門を交換する形での買収を打診している。

フランス政府は国家にとって重要なアルストムのエネルギー部門が米企業に買収されることに難色を示し、アルストムが鉄道事業を大きく強化できるシーメンスの資産交換案を支持しているもよう。しかし、アルストムの取締役会は、「GEの提案が戦略的、産業的にメリットがある」として、全会一致で受け入れを表明した。ただし、仏政府の意向を考慮して、特別委員会が時間をかけて買収提案を詳細に検討する方針を打ち出した。また、シーメンスから正式提案があれば、検討する用意があることも言明した。