欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/16

総合 – 欧州経済ニュース

新たなテロ対策で合意、6月までに国境管理強化

この記事の要約

EU加盟国は12日、ブリュッセルで内相理事会を開き、新たなテロ対策として6月までに域外との国境管理を強化することで合意した。過激派組織「イスラム国」などと関わりのある人物の動きを把握して、テロリストが域内に流入するのを防 […]

EU加盟国は12日、ブリュッセルで内相理事会を開き、新たなテロ対策として6月までに域外との国境管理を強化することで合意した。過激派組織「イスラム国」などと関わりのある人物の動きを把握して、テロリストが域内に流入するのを防ぐのが狙い。国際刑事警察機構(インターポール)などと連携して、数週間以内に域外からの渡航者が危険人物かどうか判断する際の基準となる「リスク指標」を策定する。

EUでは1月にパリで発生した週刊紙銃撃事件などを受け、テロ対策の強化が急務となっている。特にイスラム国の戦闘員としてシリアやイラクなどで活動した後、欧州各国に帰還する若者が自国でテロを起こす可能性が高まっており、第3国出身者だけでなく、欧州市民に対しても域外国境での検査を強化する必要に迫られている。しかし、EUでは欧州内での移動の自由を定めた「シェンゲン協定」に基づき、協定に参加する26カ国(EU22カ国とアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)の間ではパスポート検査などの出入国審査が廃止されているため、欧州に流入したテロリストの動きを把握するのが難しくなっている。

内相理事会では、渡航先や出発地などの情報を基に「共通のリスク指標」を策定し、EU市民を含めて該当するすべての渡航者を対象に、シェンゲン圏内への入国時にテロ対策関連のデータベースと照合することを決めた。安全保障上の理由から指標の具体的な項目は明らかにされていないが、EU議長国ラトビアの高官は、イスラム国が活動拠点を置くシリアやイラクからの渡航者が第1のターゲットになるとの考えを示している。

一方、シェンゲン協定の規定を見直し、圏内に入るすべてのEU市民を対象に入国審査を実施する案は見送られた。