欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/23

総合 – 欧州経済ニュース

独仏伊がアジアインフラ銀への参加表明、経済重視で英に追随

この記事の要約

中国主導で設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、EU主要国が相次いで参加を表明した。今月12日に英国が主要7カ国(G7)で初めて参加を表明したのに続き、17日にはドイツ、フランス、イタリアが参加の意向を確認した。 […]

中国主導で設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、EU主要国が相次いで参加を表明した。今月12日に英国が主要7カ国(G7)で初めて参加を表明したのに続き、17日にはドイツ、フランス、イタリアが参加の意向を確認した。中国の影響力拡大を警戒する米国がAIIB参加に慎重な立場をとるなか、欧州勢は中国との関係を強化することで、巨大なアジアのインフラ市場で自国企業の参入機会が増えると判断した。

AIIBは中国が提唱するアジア・太平洋地域におけるインフラ整備を支援する国際金融機関で、年内の設立を目指している。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)ではカバーしきれない莫大な資金需要を賄うことを目的としており、資本金1,000億ドルの大半を中国が負担する。参加国はこれまで東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や中東の新興国が主体だったが、G7のうち4カ国がAIIBに参加することで国際的な信用度が高まり、資金調達がしやすくなると考えられる。

ドイツ財務省は声明で、世銀やADBなど既存の機関と協力することで「アジアにおける巨大なインフラ投資の需要に対応することができる」と指摘。「AIIBの設立メンバーと緊密に連携して、最高のガバナンス基準を持ち国際的に広く受け入れられる組織の立ち上げに協力したい」と強調した。

英国が主要国で最初にAIIBへの参加を表明した背景には、5月の総選挙を控え、アジアでの事業拡大を後押しすることで産業界の支持を獲得したいキャメロン政権の思惑があるとされる。運営方針や審査基準の透明性などへの懸念を理由にAIIBと距離を置く米国は、ルー財務長官が「米国主導の国際金融の枠組みに挑戦しようとしている」と発言するなど、欧州主要国が相次いで参加を表明したことに不快感を示している。ただ、英高官は「たとえオバマ政権がAIIBに参加したいと考えても議会の承認を得ることはできない」と指摘し、EU側に対するけん制は「米国の負け惜しみ」と一蹴した。