スペイン大手銀行のバンコ・サバデルは12日、英大手銀行ロイズ・バンキング・グループ傘下のTSB銀行に買収を打診し、協議を行っていることを明らかにした。ロイズとTSBは受け入れる意向を表明しており、買収は実現する見通しだ。
サバデルはTSBの全株式を1株当たり3.4ポンドで取得する計画。TSBが昨年に上場した際の売り出し価格を31%上回る水準だ。全株式を取得した場合の買収総額は約17億ポンド(約24億ユーロ)に達する。
TSBと同行の株式50%を保有するロイズは声明で、正式提案があれば、同条件での買収に応じるとしている。
金融危機で資金繰りが悪化し、2008年に英政府から205億ポンド(約262億ユーロ)の公的資金注入を受けたロイズは、EUの欧州委員会から同救済の条件として命じられた事業縮小の一環として、国内で展開する631支店を分離し、2013年に新銀行のTSBを設立。TSBは昨年に上場した。
サバデルは資産額でスペイン5位の銀行。米国、中南米でも事業を展開しているが、海外部門が収益に占める比率は8%にとどまっている。同行はTSB買収によって欧州では初となる海外進出を果たして事業基盤を強化し、国際展開で先行している国内同業のバンコ・サンタンデール、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)を追撃する。