欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/30

EU産業・貿易

EU、中国・台湾の鉄鋼製品に反ダンピング措置発動

この記事の要約

EUは25日付の官報で、中国・台湾製の冷延ステンレス鋼鈑・鋼帯に暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置を発動することを通知した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の要請に応じて昨年に開始した調査の結果を受けたもので、26日から […]

EUは25日付の官報で、中国・台湾製の冷延ステンレス鋼鈑・鋼帯に暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置を発動することを通知した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の要請に応じて昨年に開始した調査の結果を受けたもので、26日から中国製に最大25.2%、台湾製に同12%の反ダンピング関税を課す。

EUROFERは昨年5月、中国と台湾が大型家電、自動車などに使われる冷延ステンレス鋼鈑・鋼帯を不当な廉価でEUに輸出し、域内の鉄鋼メーカーに打撃を与えているとして、EUに対応を要請。欧州委員会は6月から調査を実施していた。

反ダンピング調査は最長15カ月をかけて行われるが、その間にダンピング行為の存在が明白になった場合、調査開始から9カ月以内に期間6カ月の暫定的な反ダンピング関税を適用することができる。欧州委は官報で、これまでの調査で中国と台湾がダンピング輸出を行っていることが確認され、対象製品のEUへの輸出が2010年から2014年半ばにかけて70%増加し、域内市場でのシェアが63%拡大したと指摘。これによって域内メーカーの生産量、シェアが5%減ったとしている。

反ダンピング措置が適用されるのは、中国の宝鋼不銹鋼、山西太鋼不銹鋼、寧波宝新不銹鋼、台湾の嘉発実業工廠、唐栄鉄工廠など。EUの調査に協力した企業は免除された。反ダンピング関税の税率は宝鋼不銹鋼と寧波宝新不銹鋼の25.2%が最高となる。台湾では嘉発実業工廠の12%が最高。