欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/20

西欧

ノキアがアルカテル買収で合意、携帯通信インフラ事業を強化

この記事の要約

フィンランド通信機器大手のノキアは15日、仏同業アルカテル・ルーセントを買収することで合意したと発表した。買収額は156億ユーロ。ノキアは買収によって中核の携帯通信向けインフラ事業を大きく強化し、ライバルのエリクソン(ス […]

フィンランド通信機器大手のノキアは15日、仏同業アルカテル・ルーセントを買収することで合意したと発表した。買収額は156億ユーロ。ノキアは買収によって中核の携帯通信向けインフラ事業を大きく強化し、ライバルのエリクソン(スウェーデン)、中国の華為技術に対抗できる規模となる。

買収は全額株式交換方式で行われる。アルカテルの株主はノキアの株式0.55株を受け取り、新生ノキアの株式の33.5%を握る。同日の株価に基づく1株当たりの買収価格は4.27ユーロで、アルカテルの過去3カ月間の平均株価に28%を上乗せした水準となる。買収は関係国当局と両社の株主の承認が必要。2016年上期の買収手続き完了を見込んでいる。

ノキアは主力だった携帯端末事業を14年に米マイクロソフトに売却し、通信機器事業が柱となっている。アルカテルと合わせた2014年の売上高は259億ユーロに達し、エリクソンと華為技術をわずかに上回る。市場調査会社バーンスタイン・リサーチによると、基地局など携帯通信向けインフラ部門のシェアは35%に拡大。華為技術の20%を上回り、40%のエリクソンに次ぐ世界2位に浮上する。

ノキアは当初、アルカテルの携帯通信インフラ部門に絞って買収交渉を行っていたが、全部門の買収に切り替えて協議を進め、同意を取り付けた。両社によると、統合によるコスト節減効果は19年までに9億ユーロに上る見通し。ノキアは買収に伴って、デジタル地図・位置情報サービス部門「HERE」を売却し、通信機器事業に経営資源を集中する方針だ。

今回の買収は大型案件だけに、米国、フランスなど関係当局の認可を取り付けることができるかどうかが今後の大きな焦点となる。仏政府はノキアがアルカテルの雇用を維持することを条件に合併を支持する意向を表明している。