欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/20

EUその他

トルコがアルメニア人を「大虐殺」、欧州議会が和解求める決議採択

この記事の要約

欧州議会は15日、オスマン帝国で第1次大戦中に起きた多数のアルメニア人の殺害事件を「ジェノサイド(大虐殺)」と表現した上で、事件から100年の節目を迎えたのを機にトルコとアルメニアに和解するよう促す決議を採択した。トルコ […]

欧州議会は15日、オスマン帝国で第1次大戦中に起きた多数のアルメニア人の殺害事件を「ジェノサイド(大虐殺)」と表現した上で、事件から100年の節目を迎えたのを機にトルコとアルメニアに和解するよう促す決議を採択した。トルコは反発しており、EUとの関係が冷え込む可能性がある。

1915年にオスマン帝国軍がアルメニア人を虐殺したとされる問題をめぐっては、アルメニア側は組織的に150万人が殺害されたジェノサイドだと主張。これに対してトルコは、30万~50万人の死者が出たことは認めているものの、戦乱の中で起きた悲劇だとして、ジェノサイドを否定している。

1987年に国際機関として初めて事件をジェノサイドと認定する決議を採択した欧州議会は、今回の決議でも事件をジェノサイドであると非難し、哀悼の意を表明。また、トルコに対して事件発生から100年を機に過去を受け入れてジェノサイドを認め、アルメニアとの間で「真の和解」を進めるよう求めた。一方、トルコ外務省は欧州議会の決議を受けて声明を発表し、決議は「アルメニアのプロパガンダ」であり、「歴史と法を歪曲するもの」と非難。「トルコとEUの関係を損なう恐れがある」と警告した。

オスマン帝国によるアルメニア人殺害事件をめぐっては、フランシスコ・ローマ法王が今月12日のミサで「20世紀最初のジェノサイド」と発言。トルコ政府が抗議のため駐バチカン大使を召還する事態に発展している。