欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/4

総合 – 欧州経済ニュース

ユーロ圏インフレ率がゼロ%に回復、デフレ懸念遠のく

この記事の要約

EU統計局のユーロスタットが4月30日発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比でゼロ%となり、5カ月ぶりにマイナスから脱した。原油価格の下落に歯止めがかかったことで、物価の下げ圧力が低下。まだ先行き不安は […]

EU統計局のユーロスタットが4月30日発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比でゼロ%となり、5カ月ぶりにマイナスから脱した。原油価格の下落に歯止めがかかったことで、物価の下げ圧力が低下。まだ先行き不安はあるものの、とりあえずデフレ懸念が遠のいた。

分野別では食品・アルコール・たばこ、サービスが0.9%、工業製品が0.1%の幅で上昇した。エネルギーは5.8%下落したが、下げ幅は前月の6%から縮小した。

ユーロ圏は景気回復の停滞、原油安によるエネルギー価格の低下により、昨年12月にインフレ率がマイナスとなった。これを受けて欧州中央銀行(ECB)は3月に量的金融緩和に踏み切った。

インフレ率がマイナス圏から抜けたのは、原油価格が上昇に転じたほか、量的緩和に伴うユーロ安で輸入コストが増大しているのが主因。量的緩和の直接的な効果は、まだ反映されていないとみられる。

ユーロ圏でインフレ率がマイナスとなる状況が長期化するデフレに陥る懸念は和らいだものの、価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は前月と同じ0.6%と、過去最低水準にある。サービスの上昇率は前月から0.1ポイント縮小し、過去最低となった。このためエコノミストらは、デフレ懸念が完全に払しょくされたとは判断できないとの見方で一致。ECBは国債を買い取る量的緩和を継続するとみられている。