欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/4

EU産業・貿易

欧州委が中国製HFP鉄筋のダンピング調査、欧州鉄鋼連盟の申立て受け

この記事の要約

欧州委員会は4月30日、中国製の高強度鉄筋(HFP鉄筋)に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の申立てを受けた措置で、欧州委は関係各方面への聞き取りなどを通じてダンピング […]

欧州委員会は4月30日、中国製の高強度鉄筋(HFP鉄筋)に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表した。欧州鉄鋼連盟(EUROFER)の申立てを受けた措置で、欧州委は関係各方面への聞き取りなどを通じてダンピングが行われているかどうか調査する。

HFP鉄筋はコンクリート補強用に用いられ、主に英国やアイルランドで広く使用されている。EUROFERによると、中国からEU向けの輸出は2012年のゼロから昨年は25万トンに拡大し、現在は中国製が市場シェアの4分の1を占めている。欧州製品を大幅に下回る価格の中国製品が大量に輸入されたことで、スペインのセルサ・グループ(Celsa Group)、伊グルーポ・リーバ、さらにルクセンブルクに本社を置く鉄鋼最大手アルセロール・ミタルなどが深刻な打撃を受けており、欧州メーカーのシェアは2年前に比べて3分の2に縮小した。

反ダンピング調査は最長15カ月をかけて行われるが、その間にダンピング行為の存在が明白になった場合、調査開始から9カ月以内に期間6カ月の暫定措置として反ダンピング関税を適用することができる。最終的にダンピングによって域内メーカーが損害を受けていると判断した場合、調査終了時から5年間にわたり反ダンピング関税が適用される。

欧州委は3月、中国および台湾製の冷延ステンレス鋼鈑・鋼帯に暫定的な反ダンピング措置を発動した。EUROFERの申立てを受けて昨年6月から調査を行っていたもので、3月末から中国製に最大25.2%、台湾製に同12%の反ダンピング関税を課している。