欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/4

EUその他

新車の事故通報システム搭載が義務化、法案が成立

この記事の要約

EU域内で販売される新車に自動車事故を自動的に通報する「eコール」と呼ばれるシステムの搭載を義務付ける法案が4月28日、欧州議会本会議で採択され、成立した。新ルールは2018年4月1日に施行される。 eコールは衝突事故が […]

EU域内で販売される新車に自動車事故を自動的に通報する「eコール」と呼ばれるシステムの搭載を義務付ける法案が4月28日、欧州議会本会議で採択され、成立した。新ルールは2018年4月1日に施行される。

eコールは衝突事故が起きると車内に装備された発信装置が衝撃を感知して自動的に作動し、緊急サービスセンター(域内共通の112番)に車両の位置情報を通報するシステム。緊急センターは位置情報を基に迅速に救急隊を派遣でき、従来に比べて事故発生から救助までの時間が大幅に短縮される。

欧州委員会は2005年に同システムの導入を発表。当初は09年までにEU全域でeコールが広く利用されるようにすることを目指していた。しかし、一部の国がコスト面の問題などを理由に、同システムの導入を公約する覚書への署名を拒んだことから、搭載率は低水準にとどまっている。このため、欧州委は13年6月、期限を設けてeコール搭載を義務付ける法案をまとめていた。

法案成立を受けて、域内で18年4月以降に販売される新車の乗用車、小型の業務用自動車は自動通報システムの搭載を義務付けられる。

EUでは2014年に交通事故で2万5,700人が死亡した。欧州委は新ルール導入によって事故の際の救急対応の時間が都市部で40%、地方部で50%短縮され、交通事故死が10%減ると見込んでいる。