ロシア政府が、ウクライナ情勢を受けた対ロ制裁の報復として実施している欧米産食品の輸入禁止措置を延長する可能性が強まっている。ドヴォルコヴィッッチ副首相は4月30日、記者団に対し「輸入禁止措置を解除することは今のところ考えていない」と述べた。
ロシアは昨年8月、ウクライナ情勢をめぐる対ロ制裁への報復としてEU、米国、オーストラリア、カナダ、ノルウェー産の青果や肉類、乳製品などを1年間禁輸すると発表した。一方、EUは今年2月にロシアとウクライナ両政府が結んだ停戦合意の履行期限となる年末まで対ロ制裁を延長する考えを示唆している。このため、ロシアとしても予定通り8月に禁輸措置を解除する理由はなくなっている。ペスコフ大統領報道官は、6月に開催されるEU首脳会議での対ロ制裁に関する協議の結果を待って対応を決める考えであることを明らかにした。
ロシアのプーチン大統領は先月、国民と直接対話する毎年恒例の特別テレビ番組に出演。農産物の生産と食料安全保障の強化に取り組む意向を示した。これを受け、政府は農業予算を増額するとともに、牛乳は7~10年で、肉類、野菜・果物については20年までに自給できる体制を整えることを目標に掲げている。