欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/7

西欧

ラファージュとホルシムが合併交渉、巨大セメント会社誕生か

この記事の要約

建材大手の仏ラファージュとスイスのホルシムは4日、合併交渉を行っていることを明らかにした。合併が実現するとセメントで世界最大手の巨大企業が誕生する。 声明によると、両社は対等合併を念頭に交渉を進めている。交渉はかなり進ん […]

建材大手の仏ラファージュとスイスのホルシムは4日、合併交渉を行っていることを明らかにした。合併が実現するとセメントで世界最大手の巨大企業が誕生する。

声明によると、両社は対等合併を念頭に交渉を進めている。交渉はかなり進んだ段階にあるが、合意には至っておらず、「合併にたどりつかない可能性も排除できない」としている。

両社は世界的なセメント大手。ラファージュは64カ国で事業を展開し、2013年の売上高は152億ユーロに上る。セメントでは英国で40%、フランスで34%、カナダで33%、米国で12%のシェアを握る。ホルシムは約70カ国に拠点を持つ。13年の売上高は197億スイスフラン(約161億ユーロ)。

両社はともにフランス、ドイツ、スペイン、チェコ、ルーマニア、セルビアなどに生産拠点があり、欧州、米国で独占的地位にある。しかし、その他の市場では、ラファージュがアフリカ、中東で大きな基盤があるのに対して、ホルシムは中南米で強みを持ち、補完的関係にある。

ラファージュと、ホルシム、メキシコのセメックス、独ハイデルベルグ・セメント、伊イタルセメンティの5強体制にある世界のセメント市場は、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機による建設不況で大きな打撃を受け、生産過剰状態に陥っている。両社はコスト削減、経営効率化を進めて厳しい環境を乗り切ってきたが、合併によってコスト削減をさらに進め、生産過剰を解消することで、回復の兆しが出てきたセメント市場での攻勢を強めたい考えだ。

ただ、時価総額500億ドル、年間売上高400億ドルを超える巨大セメント市場の誕生には競争上の問題があり、EUなどでの合併承認手続きが難航するのは必至。両社の事業が重複する市場での一部事業の売却などを迫られるとみられる。