欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/11

EU産業・貿易

決済サービス指令の改正案で政治的合意、競争促進と消費者保護の強化目指す

この記事の要約

欧州議会、EU理事会、欧州委員会は5日、決済サービス指令の改正案で政治的合意に達した。決済サービス市場の競争を促進するとともに、不正行為や支払事故からの消費者保護の強化を図る。 決済サービス指令はEU加盟国の決済サービス […]

欧州議会、EU理事会、欧州委員会は5日、決済サービス指令の改正案で政治的合意に達した。決済サービス市場の競争を促進するとともに、不正行為や支払事故からの消費者保護の強化を図る。

決済サービス指令はEU加盟国の決済サービス市場を統合し、規模の経済と競争によって決済サービスが一層効率化され、社会全体での決済コストが削減されるような統一された決済サービス市場を創出することを目的に、2007年に導入された。欧州委は、現行指令の成立以降、IT技術の進歩によって決済サービスを担う新たなプレーヤーが登場したことなどを受け、指令の改正案を2013年7月に発表していた。

改正案は◇オンライン決済の強力な顧客認証の導入を義務化することでセキュリティを強化すること◇新たなプレーヤーの参入と革新的なモバイル・ネット決済の発展を促す規制の枠組みを通じて競争を促進すること――を目的とする。さらに、欧州銀行監督機構(EBA)に対し、適切なセキュリティ対策の整備や、加盟国の1カ国で免許を取得すると他の加盟国でも金融サービスを行える「パスポーティング」に関するルールを明確にするためのガイドラインを策定するよう求めている。

欧州委のヒル委員(金融安定・金融サービス・資本市場同盟担当)は、「本日の合意は消費者にとって電子決済の安全性を向上させるとともに、競争とイノベーションを促進するものだ」と述べた。

改正案は年後半に正式採択される見通し。