欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/5

ロシア・CIS・その他

IMF、ウクライナへの170億ドル支援を正式決定

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は4月30日に開いた理事会で、財政危機に直面するウクライナに対する金融支援を正式決定した。今後2年間で総額170億ドルの融資枠を設定。うち32億ドルを即時に実施し、資金繰りを支援する。 ウクライナは […]

国際通貨基金(IMF)は4月30日に開いた理事会で、財政危機に直面するウクライナに対する金融支援を正式決定した。今後2年間で総額170億ドルの融資枠を設定。うち32億ドルを即時に実施し、資金繰りを支援する。

ウクライナはロシアのクリミア併合をめぐる同国との対立などで経済不安が高まり、資金調達が困難になっていることから、財政破綻の危機に陥っている。このため暫定政権はIMFなどに緊急金融支援を要請。IMFは3月、これに応じる方針を打ち出していた。

ウクライナは同融資を債務返済のほか、ロシアから輸入する天然ガスの支払いなどに充てる。残る融資の実施は、増税、エネルギー向け補助金の削減などによる財政再建や、金融改革、過剰な賃上げの抑制といった構造改革に取り組むことが条件となる。

ウクライナには世界銀行、EU、日本、カナダなどが150億ドル、米国が債務保証による10億ドルの支援を表明しており、国際金融支援は総額300億ドルを超える見通しだ。

一方、ウクライナ国家統計局が30日発表した2014年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比1.1%減となり、前期の3.3%増からマイナス成長に転落した。

ウクライナ政府は今年の実質経済成長率をマイナス3%と予測しているが、IMFは5%減とさらに厳しい見通しを示している。