欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/26

総合 – 欧州経済ニュース

英首相、EU残留に向けた交渉「自信あり」

この記事の要約

英国のキャメロン首相は22日、EUと旧ソ連6カ国の首脳会議閉幕後の記者会見で、政権2期目の最大の懸案となっているEU離脱問題について、英政府が残留の条件としているEUの制度改革をめぐる交渉に「自信がある」と述べ、離脱回避 […]

英国のキャメロン首相は22日、EUと旧ソ連6カ国の首脳会議閉幕後の記者会見で、政権2期目の最大の懸案となっているEU離脱問題について、英政府が残留の条件としているEUの制度改革をめぐる交渉に「自信がある」と述べ、離脱回避に向けた合意が可能との見解を示した。

キャメロン首相は2年前、移民流入急増などを受けて高まっている国内の反EU勢力の不満を抑えるため、次回の総選挙で与党・保守党が勝利し、自身が再任されればEU離脱の是非を問う国民投票を実施する意向を表明。7日に実施された選挙で大勝したことから、2017年末までに国民投票を実施することが決まった。

首相自身は英国のEU離脱が経済に大きな悪影響を及ぼすことから残留を望んでおり、国民投票までにEUの中東欧諸国からの移民流入制限、国家主権の拡大、英のEU予算分担の軽減といった制度改革をEUに認めさせ、国民の不満を吸収した上で残留を取り付けるという戦略を描いている。ただ、これらを実現するにはEU基本条約の改正が必要で、とくに移民制限はEU域内の人の自由な移動を認める大原則に反することから、他の加盟国の猛反発が必至な情勢だ。

キャメロン首相は再選されてから初の外交の舞台となる今回の首脳会議で、EUとの折衝を開始。ポーランド、ラトビア、ハンガリーなどの首脳と個別に会談を行い、英国の立場への理解を求めた。首相は記者会見で「温かく迎えられたわけではなく、多くの重要な問題が待ち構えている」とコメント。交渉は「困難なものになるだろう」としながらも、「結果に自信はある」と述べ、EUから譲歩を引き出し、国民投票を乗り切る決意を示した。

英政府は25日から欧州委員会や主要国との折衝を開始する予定。制度改革に関する要求の詳細を6月のEU首脳会議で提示し、本格的な交渉に入る。