2015/6/1

EU情報

欧州委が課税逃れ対策の行動計画策定、課税標準統一も視野に

この記事の要約

欧州委員会は5月27日、企業による課税逃れを防止するための行動計画を策定すると発表した。EU内で多国籍企業の租税回避問題が相次いで浮上していることを受けたもので、法人税の課税標準を統一する「共通連結法人税課税標準(CCC […]

欧州委員会は5月27日、企業による課税逃れを防止するための行動計画を策定すると発表した。EU内で多国籍企業の租税回避問題が相次いで浮上していることを受けたもので、法人税の課税標準を統一する「共通連結法人税課税標準(CCCTB)」の導入を含めた抜本的な制度改革を進める。6月中旬に詳細を発表する予定だ。

CCCTBは欧州委が2011年に導入を提案した制度。EU内の複数国で事業展開するグループ企業は現在、各法人・支店ごとに法人税を処理しているが、同制度では課税利益を共通の基準で計算し、連結した上で、グループの代表企業が単一の申告書を作成し、申告を行う。連結された利益は各拠点の売上高、資産、従業員数などに基づく公式に従って、関係する加盟国に配分され、各国の税率で法人税を支払う仕組みとなる。

欧州委は加盟国によって法人税の課税標準が異なるため、企業の税務処理の負担が大きいという問題の解消や、二重課税の回避などを目的にCCCTB導入に向けた指令案をまとめたが、税制の統合に批判的な英国、アイルランドが反発し、棚上げ状態となっている。行動計画では、同指令をめぐる協議を復活させ、導入実現を目指す。

EUではアイルランド、オランダ、ルクセンブルクが一部の多国籍企業に不当な税制優遇措置を適用している疑いが浮上し、欧州委が調査を進めると同時に、課税逃れ対策の強化に乗り出している。3月には加盟国の税務当局が企業と結んだ課税措置に関する取り決めについて、当局間での情報交換を義務づけることなどを柱とする一連の対策案を発表したばかり。欧州委は「積極的会計」や「創造的会計」と称される会計操作による課税逃れを防止し、公正で透明性のある課税システムを構築するためには、さらに包括的なアプローチが必要として、再びCCCTBに白羽の矢を立て、これを軸とする行動計画をまとめることを決めた。行動計画の詳細は6月17日に公表される見通しだ。

ただ、EUでは税制のルール改正には全加盟国の賛同が必要となる。CCCTB導入には英、アイルランドの抵抗が必至で、調整は難航する見通しだ。