欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/26

西欧

ABNアムロの民営化、年内に着手

この記事の要約

オランダ政府は22日、金融危機に際して国有化した大手銀行ABNアムロの民営化に着手すると発表した。新規株式公開(IPO)を通じて段階的に株式を売却する。IPOの第1弾は今年10~12月期に実施し、株式の20~30%を売却 […]

オランダ政府は22日、金融危機に際して国有化した大手銀行ABNアムロの民営化に着手すると発表した。新規株式公開(IPO)を通じて段階的に株式を売却する。IPOの第1弾は今年10~12月期に実施し、株式の20~30%を売却する計画だ。

ABNアムロは2007年、ベルギー・オランダ系の金融大手フォルティスと英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、スペインのサンタンデールに分割買収され、オランダ部門はフォルティスの傘下に入った。しかし、金融危機を受けて08年に完全国有化され、その後にフォルティスのオランダ銀行部門と統合し、ABNアムロの名称を引き継いだ新銀行が設立された。

同行はコスト削減、海外事業の整理などによって再建が進み、今年1~3月期の最終損益は5億4,300万ユーロの黒字となった。政府は国内金融市場の混乱が収まり、信用が回復したとして、ABNアムロの再民営化を決めた。

政府は当初、今年1~3月期の民営化を予定していた。しかし、同行が取締役の報酬引き上げを打ち出したことが世論の批判を浴びたため、計画を延期していた。ABNアムロが3月末に同方針を撤回したことから、実施の条件が整ったと判断した。