欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/8

西欧

仏政府がアレバ救済策発表、原子炉部門を電力公社と統合

この記事の要約

仏大統領府は3日、経営難に陥っている原子力大手アレバの救済策として、同社の原子炉製造部門であるアレバNPを仏電力公社(EDF)の傘下に置く計画を発表した。また、アレバに政府が資本注入も行う。 大統領府によると、アレバとE […]

仏大統領府は3日、経営難に陥っている原子力大手アレバの救済策として、同社の原子炉製造部門であるアレバNPを仏電力公社(EDF)の傘下に置く計画を発表した。また、アレバに政府が資本注入も行う。

大統領府によると、アレバとEDFは原子炉部門を統合して合弁会社を設立。合弁会社の株式の過半数をEDFが握る。出資比率など詳細は未定で、月内に両社が協議して決める見込みだ。さらに政府はアレバの本体に「必要なだけ」資本を注入し、再建を支援する。

2001年に設立されたアレバは、世界的な原子力企業として5年前まで順調に業績を伸ばしていた。しかし、福島第1原発の事故で脱原発の動きが広がり、受注が落ち込んだことや、フィンランドなどで建設している次世代の加圧水型炉(欧州加圧水型原子炉=EPR)の技術トラブルなどで経営が急速に悪化。2014年の最終損益は48億3,000万ユーロの赤字となり、赤字幅は前期の4億9,400万ユーロから急拡大した。

アレバは5月、最大6,000人の削減を柱とする10億ユーロ規模のコスト節減計画を発表したが、仏政府は同国が重視する原子力産業を守るため、EDFを巻き込んだ形でのテコ入れを決めた。

アレバとEDFは政府系企業で、仏政府が80%以上を出資している。