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2015/6/15

西欧

アイスランドが資本規制解除の準備措置発表、銀行債権者に特別課税

この記事の要約

アイスランド政府は8日、金融危機に見舞われた2008年から実施している資本規制を解除するための準備措置を発表した。解除によって資金が一気に流出するのを防ぐため、銀行から資金を引き揚げる債権者への特別課税を導入するなどして […]

アイスランド政府は8日、金融危機に見舞われた2008年から実施している資本規制を解除するための準備措置を発表した。解除によって資金が一気に流出するのを防ぐため、銀行から資金を引き揚げる債権者への特別課税を導入するなどして、“軟着陸”を図る。

金融危機で大手3銀行が破綻に追い込まれるなど大きな打撃を受けたアイスランドは、外国人投資家を対象とする資本規制を導入し、資本流出を防いできた。これによって凍結されている資金は総額1兆2,000億クローナ(約80億ユーロ)に上る。ヘッジファンドが金融危機後に破綻した3銀行から安値で買い上げた資産が大部分を占めるとされる。

政府が資本規制解除に動き出したのは、危機の沈静化を受けたもの。同規制が海外からの投資流入の妨げとなり、国内企業の資金調達が困難となっていることも背景にある。

ただし、政府は規制がなくなると資本が急激に流出し、通貨安を招く恐れがあることから、「スタビリティ・コンディション」と呼ばれる一定の条件を設け、その枠内で資本移動を認める。ロイター通信などによると、同条件は破綻した銀行の債権者が対象で、事実上の債務減免となる。債権者との年内の合意を目指す。同条件に従わない債権者に対しては「安定税」と呼ぶ特別課税を適用し、対象資産の39%に相当する額を徴収する。

アイルランド国債の保有者など他の投資家に関しては、資産売却で得たクローナ資金をアイスランド中央銀行に売却したり、アイスランドの外貨建て国債に再投資することなどが条件となる。