欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/29

西欧

仏ブイグ、アルティスの通信部門買収提案を拒否

この記事の要約

仏コングロマリット(複合企業)のブイグは23日、仏携帯電話サービス2位ニュメリカブル―SFRの親会社であるアルティス(ルクセンブルク)から受けた通信部門ブイグ・テレコムの買収提案を拒否すると発表した。同買収が実現すると、 […]

仏コングロマリット(複合企業)のブイグは23日、仏携帯電話サービス2位ニュメリカブル―SFRの親会社であるアルティス(ルクセンブルク)から受けた通信部門ブイグ・テレコムの買収提案を拒否すると発表した。同買収が実現すると、仏最大の携帯電話サービス会社が誕生することになるが、ブイグは当局から認可されない恐れがあることなどから、応じないことを決めた。

アルティスは22日、ニュメリカブル―SFRを通じてブイグ・テレコムの買収を提案したことを明らかにしていた。買収額は非公表だが、10億ユーロ程度と報じられている。ブイグ・テレコムは仏3位の携帯電話サービス会社。買収で誕生する新会社は同分野で1位のオレンジを抜き、最大手に浮上する。

同提案をめぐっては仏政府が難色を示しており、マクロン経済・産業・デジタル相は22日、国内の携帯電話サービス会社が4社から3社に減って健全な競争が損なわれるほか、両社の統合で解雇者が出るとして、阻止する構えをみせていた。ブイグの声明によると、取締役会は提案を検討した結果、こうした競争上の問題で買収計画が認可されない可能性が高いと判断。また、ブイグ・テレコムが第4世代(4G)サービスなどで強みを持ち、独自で事業を拡大できる体制にあるとして、全会一致で拒否を決めた。

アルティスは積極的な買収で事業を拡大しており、昨年11月、ビベンディの携帯電話サービス部門SFRを約135億ユーロで買収。傘下のケーブルテレビ大手ニュメリカブルとSFRが合併し、新会社ニュメリカブル―SFRが発足した。その後もポルトガル、米国などで買収を進めていた。