欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/7/27

EU情報

英グラクソによる世界初のマラリアワクチン、EMAが承認勧告

この記事の要約

欧州医薬品庁(EMA)は24日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発した世界初のマラリアワクチン「モスキリックス」の承認を勧告した。EMAの勧告を受け、欧州委員会が数カ月以内にワクチンの販売を承認する見通し […]

欧州医薬品庁(EMA)は24日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発した世界初のマラリアワクチン「モスキリックス」の承認を勧告した。EMAの勧告を受け、欧州委員会が数カ月以内にワクチンの販売を承認する見通し。一方、世界保健機関(WHO)も同ワクチンの評価を行い、年末までに具体的な利用計画について指針をまとめる方針を示している。

WHOによると、世界全体で年間およそ2億人がマラリアに感染しており、2013年には58万4,000万人が命を失った。マラリアによる死者の9割がサハラ以南のアフリカに集中しており、このうち5歳未満の子どもが83%を占めている。

モスキリックス(または「RTS,S」)はGSKが非営利団体のPATH・マラリア・ワクチン・イニシアティブと共同で開発した。米マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツ氏が創設した慈善団体のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団も資金提供している。GSKによると、南アフリカで実施した治験では、生後6~12週間の乳児でマラリアの発症リスクが27%軽減され、生後5~17カ月の乳幼児ではこの割合が46%に達した。

GSKはマラリアワクチン事業で利益を求めない方針を表明している。販売価格を製造コストに5%上乗せした水準に設定し、利益分は対策が遅れている熱帯病の研究に再投資する計画だ。