欧州証券市場監督庁(ESMA)は23日、個人投資家向けのファンドに関する規制である「UCITS指令(Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities)」に関連して、小規模なファンドの運用者については報酬規制の対象から除外する方針を打ち出した。銀行員の報酬に関しては事業規模に関係なく、変動給を原則として固定給と同額に制限するなどのルールが一律に適用されているが、UCITSではファンドの規模に応じてより柔軟な規制の運用が必要と説明している。
ヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE)ファンドをはじめとする機関投資家向けのオルタナティブファンド(AIFM)に関しては、成功報酬を基本とする独自の報酬体系が過度なリスクテイクの背景にあるとの認識に立ち、銀行セクターに準拠したファンド運用者の報酬規制が導入されている。個人向けファンドについても来年3月から同様のルールが導入されることになっており、ESMAが規制の運用方針を検討していた。
ESMAは資産運用が銀行業務より多様なため、ファンドマネジャーの報酬規制についても銀行セクターとは異なるアプローチが求められると指摘。UCITSの運用者に対する規制はAIFMと同様、規模に応じてバランスの取れた内容にする必要があると強調し、新ルールの導入に先立ち、あらゆる規模のファンド運用者から報酬規制が適用された場合のコスト負担などについて情報収集する方針を示している。