欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/17

EU情報

EUとベトナムがFTAで大筋合意、シンガポールに次ぎASEAN2カ国目

この記事の要約

欧州委員会は4日、EUとベトナムが自由貿易協定(FTA)締結交渉で大筋合意したと発表した。EUとベトナムはほぼすべての物品貿易の関税を撤廃する。双方の交渉担当チームが残る技術的な問題を調整し、年内に協定の最終文書をまとめ […]

欧州委員会は4日、EUとベトナムが自由貿易協定(FTA)締結交渉で大筋合意したと発表した。EUとベトナムはほぼすべての物品貿易の関税を撤廃する。双方の交渉担当チームが残る技術的な問題を調整し、年内に協定の最終文書をまとめる。一連の承認手続きを経て、2017年末から18年初め頃のFTA発効が見込まれる。

EUは昨年、シンガポールとの間でFTA締結交渉を完了しており、ベトナムは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で2番目のFTAパートナーとなる。EUとベトナムは12年10月に第1回交渉を開始。これまで9回の交渉を経て、最終的に欧州委のマルムストロム委員(通商担当)とベトナムのホアン商工相による電話会談で原則合意に達した。

欧州委によると、EUは一部の品目を除く99%超について、FTA発効から7年間で関税を撤廃する。一方、ベトナムはFTA発効と同時にEUから同国への輸出品目のうち65%について関税を廃止し、その他の品目についても10年間かけて段階的に撤廃する。また、ベトナムはサービス分野でも自由化を進め、金融サービス、通信、輸送、郵便市場を開放する。双方はこのほか、EU産のワインやチーズ、ベトナム産のコーヒーをはじめとする農産品や食品に対する地理的表示(GI)を相互に保護することでも合意した。

EUはベトナムにとって中国に次ぐ貿易相手で、ベトナムからEUへの輸出は2014年に221億ユーロ、EUからベトナムへの輸出は62億ユーロに上った。ベトナムからEUへの輸出は衣料品、靴、コメ、水産品、コーヒーなどが中心。一方、EUからベトナムへの輸出は自動車、電気機器、医薬品などが占めている。

マルムストロム委員は声明で「ベトナムとのFTAは、今後EUが新興国と結ぶ貿易協定の優れたモデルとなり、EUと東南アジア全体の通商関係の基準が確立される」と強調した。