欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/17

EU情報

移民・難民対策にEUが24億ユーロ拠出へ、イタリアやギリシャなど支援

この記事の要約

欧州委員会は10日までに、紛争が続く中東や北アフリカから欧州に流入する移民や難民が急増している問題への対応策として、2020年までに総額約24億ユーロを拠出する計画を承認した。多くの密航船が漂着するイタリアやギリシャなど […]

欧州委員会は10日までに、紛争が続く中東や北アフリカから欧州に流入する移民や難民が急増している問題への対応策として、2020年までに総額約24億ユーロを拠出する計画を承認した。多くの密航船が漂着するイタリアやギリシャなど、加盟国が実施する23件のプログラムにEU予算が割り当てられる。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、中東情勢の悪化などを背景に、年初からこれまでに欧州に上陸した移民・難民は12万4,000人に上り、昨年の同じ時期と比べて8.5倍に膨れ上がっている。EUは6月の首脳会議で、向こう2年間に計6万人の難民を加盟国が自主的に分担して受け入れることで合意したが、具体的な分担方法をめぐって調整が難航するなか、EU予算から移民・難民の受け入れに伴う費用を拠出して、大量の移民が押し寄せる南欧諸国などの負担軽減を図る。

国別の割当額はイタリアが総額5億5,800万ユーロと最も多く、スペインが5億2,200万ユーロ、ギリシャが4億7,800万ユーロと続く。移民の受け入れに積極的なスウェーデンも1億5,400万ユーロを受け取る。EU高官によると、経済危機に直面するギリシャに対しては、資金管理体制が整い次第、ただちに第1弾として3,300万ユーロが支払われる。資金は受け入れ施設の運営、国境管理、受け入れ基準を満たしていない不法移民の本国送還などにかかる費用に充てられる見通しだ。

なお、欧州委は今年3月、加盟国による合わせて22のプログラムに対してEU予算の拠出を承認している。英国、ドイツ、フランスなどは既にこの枠組みで資金支援を受けているため、今回は割り当ての対象に含まれていない。欧州委によると、移民・難民への対策費として、さらに13のプログラムへの拠出が年内に承認される見通しとなっている。