欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/21

EU情報

加盟国がCOP21の交渉方針で合意、排出ゼロ目標の設定など提案へ

この記事の要約

EU加盟国は18日、ブリュッセルで臨時環境相理事会を開き、年末にパリで開催される気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けた交渉方針をまとめた。地球全体の気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えるため、 […]

EU加盟国は18日、ブリュッセルで臨時環境相理事会を開き、年末にパリで開催される気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けた交渉方針をまとめた。地球全体の気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えるため、2050年以降の長期的な温室効果ガス削減目標について合意を目指す。2100年までに世界全体で排出量実質ゼロを達成するとの目標や、5年ごとに国別目標を見直すことなどを「パリ合意」に盛り込むため、EUが議論を主導していく方針を確認した。

国際社会は20年以降の温暖化対策の新たな枠組みについて、COP21での合意を目指している。京都議定書は先進国のみに温室効果ガスの削減義務を課したのに対し、次期枠組みは途上国を含めたすべての締約国に相応の貢献を求める点が特徴。しかし、新興国や途上国はこれまで大量の温室効果ガスを排出してきた先進国が削減義務を負うべきだとの立場で、排出削減目標の策定作業が遅れている。また、先進国の間でも国別の削減目標に法的拘束力を持たせるべきか否かで意見が分かれており、COP21でどこまで合意できるか不透明だ。

EU自体は昨年10月、30年までに域内の温室効果ガス排出量を1990年比で40%以上削減するとの目標で正式合意し、パリ合意に向けた削減目標として枠組み条約事務局に提出している。環境相会議では、産業革命以降の気温上昇を2℃未満に抑えるとの目標を達成するため、COP21で明確な道筋をつける必要があるとの認識で一致。具体的には遅くとも20年までに世界全体の温室効果ガス排出量をピークアウトさせたうえで、最新の省エネ技術や二酸化炭素(CO2)回収技術の活用、さらに植林などの施策を通じて50年までに1990年比で50%の削減を達成し、2100年までに実質ゼロにするとの目標設定を目指すことで合意した。

加盟国はこのほか、50年以降の長期目標を設定したうえで、削減目標の引き上げを視野に、5年ごとに国別目標を見直すことや、各国政府の取り組みや目標の達成状況を締約国が相互にチェックできる仕組みづくりでも合意形成を目指すことで一致。さらに途上国の気候変動対策を支援するため、20年までに官民合わせて年間1,000億ドルの資金を動員できるようにする「気候変動ファイナンス」の目標設定でも合意した。