ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)は16日、同2位の英SABミラーに買収を打診したことを明らかにした。実現すれば世界ビール市場で3割のシェアを持つ巨大ビール企業が誕生する。
ABインベブはSABミラーに買収の意向を伝えた段階で、買収提案は行っていない。買収を進める場合は、SABミラーが本社を置く英国の法令により、10月14日までに正式な提案を行う必要がある。SABミラーは声明で、買収提案を受ければ「適切に検討し、回答する」としている。
ABインベブはベルギーのインベブが2008年、米アンハイザー・ブッシュを買収して誕生した企業。「バドワイザー」「コロナ」などのブランドで知られ、世界で約20%のシェアを握る。SABミラーの同シェアは約10%。アフリカなど新興市場に強みを持つ。
大手ビールメーカーの間では、北米と欧州市場で独立系企業が生産する地ビールの人気が上昇し、ワインなど他の酒類を好む消費者が増えていることから、買収などによって新興市場での事業基盤を強化する動きが強まっている。ABインベブはSABミラー買収によって未開拓のアフリカに販路を持つなど、新興市場での事業を大きく強化できる。
ロイター通信によると、市場では買収額が最大1,300億ドルに達するとの見方が出ている。