欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/28

EU情報

米ステープルズのオフィス・デポ買収、欧州委が本格調査に着手

この記事の要約

欧州委員会は25日、米文具・事務用品販売の最大手ステープルズが同2位のオフィス・デポを買収する計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。両社の取引を認めると法人向けの事務用品市場で寡占化が加速し、価格 […]

欧州委員会は25日、米文具・事務用品販売の最大手ステープルズが同2位のオフィス・デポを買収する計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。両社の取引を認めると法人向けの事務用品市場で寡占化が加速し、価格上昇につながる恐れがあると判断した。欧州委は買収計画を精査し、来年2月10日までに結論をまとめる。

ステープルズは今年2月、オフィス・デポを63億ドルで買収すると発表。8月下旬に欧州委に買収認可を申請した。

欧州ではステープルズとオフィス・デポに仏リレコを加えた大手3社が法人向け事務用品市場で激しいシェア争いを展開している。欧州委はステープルズによるオフィス・デポの買収が実現した場合、ステープルズの競争相手は実質的にリレコ1社となるため、すでに寡占化が進んでいる市場でさらに顧客の選択肢が狭められ、価格上昇などの弊害を招く恐れがあると指摘。特にスウェーデンではステープルズによる事実上の独占が形成され、著しく競争が阻害される事態を警戒している。

欧州委のヴェスタエアー委員(競争政策担当)は「規模の大小にかかわらず、すべての企業や組織にとって事務用品は日常業務に不可欠なものだ。大手2社の合併が欧州市場に悪影響をもたらすことがないよう、買収計画を精査する」とコメントしている。