欧州委員会は1日、EUが域内での栽培を認可している遺伝子組み換え(GM)作物であっても加盟国が独自の判断で禁止できるオプトアウト制度について、同日までに15カ国が同ルールの適用を申請したことを明らかにした。自国でのGM作物の栽培を禁止したい加盟国は3日までに欧州委に申請することになっており、5日に最終的な数が公表される見通しだ。
GM作物をめぐっては、英国やスペインなどの推進派とフランスを中心とする反対派の間で依然として溝が深く、域内での栽培が認可されているのは米モンサントが開発した害虫抵抗性のトウモロコシ「MON810」のみで、実際に栽培されているのはスペインとポルトガルの2カ国にとどまっている。こうした現状から、モンサントは仮に認可されてもEU内での商業栽培は実質的に不可能と判断し、2年前に新たな栽培認可の承認申請をすべて撤回した経緯がある。
こうしたなか、今年3月にはEUが認可した品種であっても、自国での栽培を望まない加盟国は社会経済的要因や土地利用に関する政策などを根拠として、栽培申請の地理的範囲から自国領土の一部またはすべてを除外できる制度が導入された。GM作物に対するEU市民の根強い懸念に配慮して、加盟国に最終的な決定権を与えたうえで、安全性が確認された品種については速やかに域内での栽培を認可し、EUの規制に対する米国などの批判をかわすのが狙いだ。
AFP通信などによると、欧州委に国内全域でのオプトアウトを申請したのはフランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、オランダ、ハンガリー、ポーランドなど13カ国。一方、英国はイングランド以外の3地域(スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)、ベルギーはフランス語圏のワロン地方についてオプトアウトを申請した。