欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/19

EU情報

欧州委がスペインに予算案見直し指示、財政改善を問題視

この記事の要約

欧州委員会は12日、スペイン政府に2016年予算案の見直しを指示したと発表した。財政改善の見通しが甘すぎ、EUの財政規律を順守できないと判断したもので、スペインは歳出削減を求められる。総選挙を控えるラホイ政権にとっては逆 […]

欧州委員会は12日、スペイン政府に2016年予算案の見直しを指示したと発表した。財政改善の見通しが甘すぎ、EUの財政規律を順守できないと判断したもので、スペインは歳出削減を求められる。総選挙を控えるラホイ政権にとっては逆風となる。

スペインは財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以下に抑えることを義務付けるEUの財政規律に2009年から違反しており、16年までの是正を求められている。政府が提出した16年予算案では、同年のGDP伸び率が3%になるという前提で、財政赤字をGDP比2.8%に削減することになっているが、欧州委は成長見通しが楽観的で、実際には2.7%にとどまると予想。このため、財政赤字はGDP比3.5%となり、規律の上限を超えるとして、予算案見直しを求めた。

今回の指示は、ユーロ参加国の予算案を欧州委が事前に審査する制度に基づくもの。同制度はギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として2013年に開始された。ユーロ圏各国は次年度予算案を議会の承認に先立って毎年10月15日までに欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。欧州委は予算案がEUの財政規律に反すると判断した場合、修正を勧告する。

スペインでは12月20日に総選挙が実施されることになっており、議会が11月に解散されるため、政府は期限の1カ月以上前の9月11日に予算案を欧州委に提出。これを受けて欧州委は、通常は一括して11月にまとめる意見書をスペインに限って前倒しで出した。