欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/19

総合 – 欧州経済ニュース

ユーロ圏の1~3月成長率は0.2%、仏・伊不調で回復もたつき

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが15日発表したユーロ圏の2014年1~3月期の域内総生産(GDP、速報値)は前期比で0.2%増加し、4四半期連続でプラス成長となった。ただ、ドイツが拡大した一方で、イタリアがマイナス成長に転落す […]

EU統計局ユーロスタットが15日発表したユーロ圏の2014年1~3月期の域内総生産(GDP、速報値)は前期比で0.2%増加し、4四半期連続でプラス成長となった。ただ、ドイツが拡大した一方で、イタリアがマイナス成長に転落するなど、国によって景気動向に温度差があり、成長率は前期と同水準の小幅の伸びにとどまった。(表参照)

EU28カ国ベースのGDPは0.3%増で、上げ幅は前期の0.4%から縮小した。国別ではドイツのGDPが0.8%増となり、上げ幅は前期の0.4%を大きく上回った。個人消費、設備投資が増え、内需を押し上げたとみられる。また、スペインの成長が0.2%から0.4%に加速。英国も0.8%増と高い伸びを維持した。

これに対して、イタリアは0.1%増から0.1%減に悪化。オランダ、ポルトガルもマイナス成長に転じた。さらに、フランスが個人消費、設備投資が落ち込み、前期の0.2%成長からゼロ成長に失速した。フィンランドは2期連続でマイナス成長となった。

ユーロ圏の信用不安の震源地となったギリシャは、前期比の統計がなく、前年同期比で1.1%減となったが、マイナス幅は前期の2.3%から大きく改善し、2010年1~3月期以来の低水準まで縮小した。

ユーロ圏は13年4~6月期に景気後退を脱し、7四半期ぶりのプラス成長に転換。債務危機の沈静化を追い風に、緩やかな回復を続けてきた。新車販売の持ち直し、景況感の改善が続いていることなどから、14年には本格的な回復軌道に乗るとの期待が広がり、1~3月期のGDPは0.4%まで拡大すると予想されていた。それだけに、今回の結果は期待外れで、なお本格的な回復には程遠いことが示された。

市場では4~6月期以降も低成長が続くとの見方が優勢で、これによって低水準にあるユーロ圏のインフレ率が押し上げられず、失業率が高止まりする懸念がくすぶっている。

欧州中央銀行(ECB)は8日の定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利の6カ月連続での据え置きを決めたが、ドラギ総裁はデフレ懸念、ユーロ安対応として、追加金融緩和に前向きの姿勢を打ち出した。市場では今回の結果を受けて、ECBが6月5日に開く次回の定例政策理事会で追加金融緩和に踏み切るのは確実との点で一致。史上最低水準となっている政策金利を0.25%から引き下げるほか、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(預金ファシリティ金利)をゼロからマイナスに引き下げ、さらに量的緩和まで踏み込むとの見方も出ている。