EUは12日の外相理事会で、ロシアに対する追加制裁を決定した。新たに13人に対して渡航禁止・資産凍結措置の適用を決めたほか、クリミア編入に関わった企業2社の資産を凍結した。
追加制裁の対象には、ウォロジン大統領府第1副長官やロシア空挺部隊のシャマノフ司令官などが含まれる。制裁対象者はこれで計61人となった。企業に制裁が適用されたのは今回が初めてだが、対象となった石油ガス会社チェルノモルネフチェガスと石油供給会社フェオドシヤはいずれもロシアが編入したクリミア当局が接収した企業であり、プーチン政権に近いロシア企業などは対象から外れた。
理事会は共同声明で、ウクライナ東部で11日に親ロシア派勢力が主導して行った住民投票について「昨日(11日)または将来のいかなる違法な住民投票も認めない」と強く非難。また、25日に予定されるウクライナ大統領選に関連し、「今後の措置を決定するにあたって、自由で公正な大統領選挙実施に向け全ての当事者の動向を注視する」と述べ、大統領選へのロシア側の出方によっては制裁を拡大する可能性を示唆した。
これに対しロシア外務省は「EUのパートナーとしての信頼を損ない、ウクライナの内紛解決を支援するという主張に疑問を抱かせる」と批判する声明を発表した。
一方、欧州委員会のバローゾ委員長は13日、ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相とブリュッセルで会談。ウクライナのマクロ財政を支援するための10億ユーロの融資に関する覚書に調印した。さらに、構造改革や汚職撲滅、社会・経済発展を目的とした3億6,500万ユーロ規模の「国家再建プログラム」の実施でも合意した。