欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/19

EU情報

アイルランド、2年連続の拡大予算

この記事の要約

アイルランド政府は13日、15億ユーロの減税、歳出増加を盛り込んだ2016年予算案を発表した。金融・債務危機を脱し、経済が急回復していることを受けたもので、2年連続の拡大予算となる。 アイルランドは2008年の不動産バブ […]

アイルランド政府は13日、15億ユーロの減税、歳出増加を盛り込んだ2016年予算案を発表した。金融・債務危機を脱し、経済が急回復していることを受けたもので、2年連続の拡大予算となる。

アイルランドは2008年の不動産バブル崩壊で国内銀行が大きな打撃を受けた。これが引き金となって信用不安が深刻化して債務危機に陥り、2010年にEUと国際通貨基金(IMF)から総額675億ユーロの金融支援を取り付ける事態に発展。これに伴って財政緊縮を迫られてきた。

政府は財政再建と景気回復で危機を克服し、13年に支援を脱却。昨年には7年に及んだ緊縮策から転換した。アイルランド経済は好調で、政府の予想では今年の国内総生産(GDP)は6.2%増と、2年連続でユーロ圏最高の成長を記録する見通しであることから、財務省は昨年に続く減税、歳出増を決めた。

減税は個人所得税が対象で、低所得層を支援するための財源として11年に導入された特別税の税率などを引き下げる。これによって個人所得税の税率は平均49.5%となり、7年ぶりに50%を割り込む。歳出の増加分は福祉対策の拡充などに充てる。