欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/19

西欧

ABインベブ、SABミラー買収で合意

この記事の要約

ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)は13日、同2位の英SABミラーを買収することで基本合意したと発表した。SABミラーは買収を拒否していたが、ABインベブは買収総額を約680 […]

ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)は13日、同2位の英SABミラーを買収することで基本合意したと発表した。SABミラーは買収を拒否していたが、ABインベブは買収総額を約680億ポンド(約911億ユーロ)に引き上げ、ようやく同意を取り付けた。食品・飲料業界の買収では過去最高規模となる。

ABインベブは9月中旬に買収を打診。当初の買収額は1株当たり38ポンドだったが、SABミラーが低すぎるとして拒否したため、3度にわたって増額し、12日に43.5ポンドに引き上げた。それでも応じなかったため、5度目の提案で44ポンドを提示し、基本合意に至った。同価格は買収打診を公表した直前の株価に約50%を上乗せした水準となる。

ABインベブはベルギーのインベブが2008年、米アンハイザー・ブッシュを買収して誕生した企業。「バドワイザー」「コロナ」などのブランドで知られ、世界で約20%のシェアを握る。SABミラーの買収によってシェアが約3割に拡大し、首位の座を強固にする。特にアフリカ、アジアなど新興市場の事業を大きく強化できる。

ただ、この買収は約9%のシェアを持つビール2位ハイネケン(オランダ)を大きく凌駕する巨大ビール企業が誕生することから、米、中国などの競争当局が承認を渋る可能性がある。このためABインベブは、買収が認可されず、実現に至らない場合に30億ドルの違約金をSABミラーに支払うことで合意した。