欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/19

総合 – 欧州経済ニュース

アイスランド、EU加盟申請撤回を先送り

この記事の要約

アイスランド政府は12日、EU加盟申請の撤回を先送りすると発表した。国民、議会の一部が撤回の是非を問う国民投票の実施を求めているためで、議会は夏の休会が明けてから同問題を協議する。 アイスランドは2009年7月、EUに加 […]

アイスランド政府は12日、EU加盟申請の撤回を先送りすると発表した。国民、議会の一部が撤回の是非を問う国民投票の実施を求めているためで、議会は夏の休会が明けてから同問題を協議する。

アイスランドは2009年7月、EUに加盟を申請し、10年に加盟交渉を開始した。これまでに35に上る交渉分野のうち27分野で交渉を開始し、11分野が完了している。しかし、加盟の大きな動機となった金融危機による経済混乱が終息し、漁業権をめぐるEUとの対立が激化したことから、政府は昨年1月に加盟交渉の凍結を発表。昨年の総選挙を経て発足した中道右派の新政権は今年2月、加盟交渉を正式に打ち切り、加盟申請を撤回する方針を打ち出した。

これに対して、国内の親EU派は、連立政権を組む独立党と進歩党が選挙戦で、加盟交渉継続の可否を国民投票で問う方針を掲げていたことから、公約違反として反発。3月と4月には議会前で数千人規模の抗議デモが起きた。政府に加盟申請撤回の権限を与える決議案を用意している議会でも、一部が阻止に動いていることから、政府は撤回を強行しないことを決めた。

ただ、世論調査では加盟反対派が多数を占めており、国民投票を実施したとしても申請撤回は揺るがない見通し。新政権が国民投票中止を決めたのも、世論の後押しが背景にあった。このため、スヴェインソン外相は議会での協議は「形式的」なもので、加盟申請撤回は確実との見方を示している。