EUの欧州司法裁判所は22日、ビットコインなど仮想通貨の取引は付加価値税(VAT)の課税対象から除外されるとの判断を下した。EUのVAT税制に関する指令は通貨として使用される紙幣や硬貨の取引を非課税項目と規定している。インターネット上でやり取りされる仮想通貨も税法上、法定通貨と同様に扱われるべきだとの判断を示したもので、欧州市場でビットコインの普及に弾みがつく可能性もある。
今回の事案はビットコインの取引所を運営するスウェーデン人の男性が、ビットコインの購入や両替などにかかる手数料はVATの課税対象から除外すべきだと主張し、訴えを起こしたのが発端。スウェーデンの裁判所は原告の主張を認める判決を言い渡したが、税務当局が異議を申し立て、欧州裁に判断を求めていた。
欧州裁は判決で、ビットコインは通常の通貨と類似した支払い手段であり、ビットコインの売買やユーロやスウェーデンクローナといった通貨との交換は、VAT指令第135条1項が規定する「通貨・銀行券・硬貨にかかるサービス」に分類されると指摘。ビットコイン取引所が徴収する手数料は課税対象から除外されると結論づけた。
2009年に誕生したビットコインは国家の枠組みを超えた通貨として注目を集め、手軽さや利便性の高さから急速に流通量が拡大した。しかし、ビットコインの取引は匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪の温床になっているとの批判もある。中国政府は2年前、国内の金融機関に対してビットコインの利用規制を通達。同国最大の取引所が人民元での預金受け入れを停止したのをきっかけに、ビットコインの価値はおよそ半分に下落した。さらに昨年2月には世界最大の取引所だったマウントゴックスが経営破たんし、顧客から預かったおよそ6億5,000万ドルの資金が失われた。こうした動きを受けて世界各国の金融当局は仮想通貨への警戒を強めている。