スイス金融大手のクレディ・スイスは21日、新経営戦略を発表した。経営環境の悪化を受けたもので、60億5,000万スイスフラン(約56億ユーロ)の資本増強とコスト削減を実施する。不振の投資銀行部門を縮小し、富裕層向け資産運用部門を強化することなども打ち出した。
資本増強はスイス当局による資本規制強化に対応するのが目的。株主割当増資を実施する。11月19日の臨時株主総会で承認を求める。
コストについては、最大3,400人の削減などによって、2018年末までに35億スイスフラン圧縮する。人員削減のうち1,800人は英国の投資銀行部門が対象となる。
投資銀行部門は大幅に縮小し、代わって収益力の高い富裕層向け資産運用部門を強化する。とくにアジアに集中し、米国の同事業からは撤退する。このほか、スイス子会社を17年末までに上場させる方針を示した。
クレディ・スイスが同日発表した2015年7~9月期決算の純利益は7億7,900万スイスフランとなり、前年同期から24%減少した。投資銀行部門の不振が響いた。